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ボウイ展 キュレーション秘話 その1 〜デヴィッド・ボウイ・アーカイブでは、衣装はきれいに折りたたまれていた。

V&Aのキュレーター、ヴィッキーとジェフリーの二人が来日時に語ってくれたボウイ展のディープな話を、通訳を務めたお二人の協力を得て改めてまとめたキュレーション秘話。ボリュームたっぷり、4回連載でお届けします!

 

『DAVID BOWIE is』展の開幕に合わせて1月初めに来日した、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館シアター&パフォーマンス部門のキュレーター、ヴィクトリア・ブロークスとジェフリー・マーシュ。日本滞在中に両者の通訳を務めた丸山京子さんと伴野由里子さんの協力を得て、この展覧会を実現させたふたりの、記者会見やプレス内覧会での言葉をまとめてみた。

 

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展覧会開催に至るまで

過去にスプリームスからディアギレフまで幅広いテーマを取り上げてきたふたり。2011年に企画を進めていたエルヴィス・プレスリーの展覧会がとん挫した時、タイミング良くデヴィッド・ボウイの関係者のオファーを受けて、展覧会開催の可能性を探るべく、彼のアーカイヴを訪れたという。

 

ジェフリー 「元々ボウイのアーカイヴは世界中に分散していたのですが、9・11事件以降、一カ所にまとめられたそうです。そこには、例えば衣装は1点1点紙を間に挟んで保存されていたりと、75,000点に及ぶ品々が実に丁寧に保管されていました。もしかすると私たちが訪問するにあたって、すでに分類されていたのかもしれません。見られることを意識して、編集した状態で提示したとも考えられます。その辺は定かはではありませんが、もしそうだったとしても、それはそれでボウイらしいですよね」

 

ヴィクトリア 「ボウイは一切展覧会の内容には関与していませんが、アーカイヴ収蔵品は自由に使わせてくれました。唯一新たに用意してくれたものは、大の読書家だった彼の、100冊の愛読書のリストです。これらの書籍も展示に含まれています」

 

ジェフリー 「私とヴィクトリアは大勢のロックスターのアーカイヴを見ていますが、たいていは衣装と雑誌の切り抜きが少しある程度。でもボウイの場合は、何もかもが保管されていて圧巻でした。まるで、自ら作り上げたキャラクターを通じて自分自身を分析していたかのように感じさせます。デヴィッド・ジョーンズという人物が、デヴィッド・ボウイというパーソナリティに関するアーカイヴを何十年にもわたって築いていたこと自体が、驚くべき話ですよね。彼は毎日デヴィッド・ボウイとして生き、密かにその歩みを記録していたわけですから。そこには、デヴィッド・ジョーンズに関する記録は一切ない。彼は改名はしなかったので生涯“ジョーンズ”であり続け、“ボウイ”はあくまで架空のキャラクターなんですが、世界中の数百万の人にとって、この上なくリアルな存在なんです」

 

展覧会エントランス

『DAVID BOWIE is』展を訪れる人々を出迎えるのは、『アラジン・セイン』ツアーで着た山本寛斎作の衣装『TOKYO POP』、ギルバート&ジョージの『ザ・シンギング・スカルプチュア』、そしてジョン・ケージの『チェス・ピーセズ』だ。

 

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ヴィクトリア 「山本寛斎の服然り、ギルバート&ジョージのパフォーマンス映像然り、ジョン・ケージの音楽然り、エントランスに展示されている作品は、何がアートで何がポピュラー・カルチャーなのか、線引きが曖昧になった時代を象徴するもの。そもそもアートとは何なのかと問われた時代にボウイは登場したのだという、背景を説明しているんです」

 

ジェフリー 「ボウイは1967年にアルバム・デビューを果たしましたが、ギルバート&ジョージの作品も、同じ年に制作されました。僕が知っている限り、パフォーマンス・アートという意味において、ボウイが試みていたことに一番近いことをやっていたのが、このふたりではないかと思います」

 

写真: ©Shintaro Yamanaka(Qsyum!)

 

秘話その2: “Kon-rads“のハイフンにみせたボウイのこだわり

秘話その3: ボウイのウエストは驚愕の67.5cm!でも腿は筋肉質で太かった。

秘話その4: HEROESの歌詞は何度も書き直してある。