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DAVID BOWIE is 〜プレミアム・トークショー 第三回 ミック・ロック “あの頃のボウイは全く古びた印象を与えない。“今”を感じさせるんだ” 〜最速レポートをお届けします!

 

その佇まいはまるでロックスター。ジギー・スターダスト時代のデヴィッド・ボウイをカメラで追い、“70年代を写した男”と呼ばれるミック・ロックは、豪快なキャラとユーモアで、『DAVID BOWIE Is』開催記念プレミアム・トークショーの第3弾に集まった人々をエンターテインしてくれた。何しろこの英国人フォトグラファーは登場するなり、MCを務めるTV/ラジオ・パーソナリティのクリス・ペプラー氏の質問を待たずに、2003年に東京都写真美術館での展覧会開催を機に初来日した時の話に突入。「日本で俺は“次に何を撮りたいですか?”と訊かれて、“歌舞伎”って答えたんだ。だって伝統芸能でありながら、内容はセックスに殺人にドラッグに近親相姦だろ。それってまさにロックンロールじゃないか!」

 

早速脱線するミックを、クリス氏がすかさず軌道修正。まずはボウイと出会った経緯について訊ねると、アルバム『ハンキー・ドリー』に惚れ込んで彼にアプローチしたという。特に好きだったのが、のちに自らビデオクリップを撮影する曲『火星の生活』なんだそうだ。以後、アイコニックな写真の数々をモニターに映しながら、今や残り少ない証人のひとりとして、ジギー時代のボウイの魅力を語り聞かせる。例えば、1972年6月のオックスフォード公演で捉えた、ギターを弾くミック・ロンソンにボウイが絡むあの悪名高き1枚。「今見るとちっとも過激じゃないが、ボウイに“あれを撮ってくれたよね?”と念を押されたものだよ。彼自身、重要な瞬間だってことに気付いていたのさ」とミックは振り返る。「オーディエンスは決して盛り上がってはいないよね。むしろ、“いったい何が起きているんだ?”と困惑していんだ」。またアメリカ盤の『スペイス・オディティ』のジャケットに使われたポートレイトは、ボウイ自身のお気に入りでもあったとか。「この写真について“ミックは僕が自分を見ているのと同じように、僕を見てくれている”とマネージャーに言ったらしいよ。元々雑誌のためのセッションで撮った写真だけど、雑誌やレコード会社の意向なんか、俺にはどうでもよかった。とにかく被写体に写真を気に入ってもらいたかったんだ」。そして、英国内を鉄道で移動していた時に、食堂車で食事をするボウイとミック・ロンソンを映した写真については、「ふたりが交わしている視線が好きなんだ。自分たちがやっていることに手応えを感じていて、それをお互いに確認し合っていたんだよ」と説明する。「あの頃のボウイは全く古びた印象を与えない。“今”を感じさせる。そこが違うんだ。ローリング・ストーンズも素晴らしいが、昔のストーンズの写真は、単に昔のストーンズに見えるだろ?」。

 

それゆえに、ほかにも多数の大物アーティストと仕事をしているミックにとっても、ボウイは特別な存在。彼の音楽的才能と被写体としての美しさを絶賛するだけでなく(「映りの悪い写真なんかないからね!」)、何よりもまず、ひとりの友人としてのボウイの魅力を強調する。「1996年に俺が入院して心臓の手術をした時、真っ先に花を届けてくれたのがボウイとルー・リードだった。一時お金に困った時期にも彼は手を差し伸べてくれたし、本当に優しい心と美しい魂の持ち主なんだ。偉大なパフォーマーたちが、みんながそうとは限らない。中にはイヤなヤツもいるからね(笑)。でもボウイとはブラザーとして付き合った。彼を見ながら、彼を撮影しながら、俺は多くを学んだよ」。

 

こんな調子で話は尽きず、結局時間を延長して、放送禁止用語満載の武勇伝とフィロソフィを聞かせてくれたミック。「デヴィッド・ボウイに神のご加護を!」と宣言してトークを締め括ると、たちまち写真集にサインを求める人々に囲まれ、その姿はやはりロックスター以外の何者でもなかった。

 

 

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